家の前の道路沿いに捨てられたゴミ袋を破って漁っている人がいる。

こういう破り方をするから、カラスやネズミが集ってこの街は汚れていくんだよな。なんて思いながら、6畳の部屋に帰る。言葉を発したら全部溢れちゃいそうだったから、猫には頭だけ撫でてやった。

数ヶ月前までの生活のこと、考えてみた。ほぼ毎日バイトの日々で、考える余裕がなくて良かった。一年前の生活のこと、考えてみた。何してたかほとんど覚えていなかった(忘れやすいので、最近は日記を始めた。だが書くのすら忘れてしまってなかなかちゃんと付けられず)。携帯につけているカレンダーを見返したら、猫の体重の記録と、ライブハウスの名前、それから懐かしい予定がパラパラと書かれていた。昔の自分のことを思い出すと、吐き気がする時がある。なんか、引っかかるようなこの気持ちが、気持ち悪い。自分の行動すべて、時が経つにつれて客観視をしてしまう癖がある。その対象が、自分であるがために、気持ちが悪い。

最近の生活のこと、考えてみる。最近はバイトすらあまり出来ていない。授業もオンラインで家にひたすらいて(もう春休みだけど)、家のベッドでただ天井をぼーっと見上げたり、どうでもいいことばかりを検索して、飽きたら昼寝するみたいな日々だ。平凡で平坦な毎日が続くと、デコボコした道を歩きたくなる。例えば、模様替え。私は定期的に「模様替えがしたい！」という気持ちになって後先も考えず家具をほぼ全部買い替えたり、ベッドの位置を変えて壁を傷つけたり、ローテーブルをやめて組み立てが大変なダイニングテーブルを注文したり、お花を大量に買って飾り付けたり、ミニマリストになりたい！と収納場所を変えたり、布団を捨てたり。最近はテレビ台を買ったのだが、前のテレビ台の処分に困っている。同じところにずっといると、悲しくて、虚しくなる。だから少しでも忘れたくて、何かをしておかないと、駄目だなあと思ってしまうのだ。他にも、新しいものが欲しくなる。洋服、メイク道具、食器、本、私のお金で買えるものなら全部。新しいものを買って、要らなくなったものは全部捨てる。そんなことにもなんの抵抗もない。新しいものを手に入れると、自分の価値とか存在力みたいなものが上がったような気分になる(店員さんに似合いますね、とか、ありがとうございます、とか言われた時や、物にときめきを感じて手に入った時わたしという感性が働く気がして心を感じる)。あとは、自分に課金したくなる。美容室とか、喫茶店とか、映画館とか。睫毛パーマやネイル、マッサージなどもだ。新しいものを自分で体験したり経験したり目に焼き付けたりして感情を動かしに行かないと、ぶん殴られるような刺激がないと、どうやら私という人間は生きた心地がしないみたいだ(つまらないつまらないつまらないつまらないどっか行きたい連れ出せ連れ出せ連れ出せみたいな気持ちになる)。だから刺激のない、変わらない毎日にはすぐに飽きてしまって、そんな生活の中にいる自分がとても滑稽でつまらなくて嫌になる。どうにか、自分で自分の機嫌をとらないと、私はやっていけないのだ。他人に機嫌をとってもらおうなんて考えていないし、多分そんなものは不可能なのである。誰にも何も言わずに出かけるのは良い、秘密の探検をしているみたいで。わくわくする。本当は、免許があったなら遠くへドライブへ行きたい。根は真面目なので、次の日がオフの日に目的も決めず夜中から車をぶっ飛ばしたい。それで、たどり着いた先が知らない遠い街の海とかだったら多分泣いちゃうなぁ。子供の頃は、制限がいっぱいあって、誰かの手を借りなきゃ何も出来なくて、結局やりたいこと全然出来てなかったなあとつくづく感じる。1人になって、私はこの方が向いているのだと感じる。だけど、人とどうでもいい話をして笑ったり、くだらない思いつきの遠出もしたい。私、きっとすごく救われている。

人は、日々を満足に生きられている人の方が多いのだろうか。それとも、ああ今日もなんもなかったなとか、今日も普通だったなとか、悲しくなるのだろうか(悲しくて悔しいことがあって落ち込むのとはまた違う感覚)。もしかしたら、それをちゃんと受け止められる人が大半なのかもしれない。だけど私には出来そうにないな。生きるのは難しい。誰かを傷つけそうになる。だから、その前に自分で自分をどうにか保ってあげないと。そう思って生きている。

誰かを、何かを傷つけないように、大切にすることってすごく難しいけど(そもそも傷つけないことだけが大切にするという意味じゃないだろうけど)私が大切に出来るものと、誰かが大切にできるものってきっと違う。私の大切なもの、もちろんちゃんとある。だけどこれからも増えていく。私は、それをずっと探していて多分これからも永遠に探していたいのだと思う。永遠に満たされないこの世界で、私は満たされることを望んでいないのかもしれない。難しいけど！

2021.01